飲んでもいいのか飲んではいけないのか 正露丸

救急箱の定番メンバーの一員、「正露丸」。蓋をしていても周囲に放たれる独特の臭気、飲んだら飲んだで「正露丸を飲んだ人の臭い」を周囲にまき散らす運命に。

20年くらい前でしょうか、「飲んではいけない薬」として取り上げられ、あまり良くない意味で脚光を浴びたこの薬。実際のところどうなのかと調べてみました。

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飲んでもいい派と飲んではいけない派

ドラッグストアで働き始め、薬剤師さんと接する機会も多くなりました。直接気になる薬について意見を聞いたり、セミナーで勉強をする中で、正露丸の話題が出る事もありました。

中には「正露丸は腸の良い菌も全部殺す」という薬剤師さんもいるにはいましたが、飲む事について否定する意見はほとんど聞きませんでした。正露丸の代表的メーカー、大幸薬品さんのホームページを見てみても、もちろん「正露丸は良くないですよ!」と書いてあろうはずもなく。

「木クレオソート」という独特な成分が主成分の正露丸。飲んでも問題ない派と飲んではいけない派、それぞれに意見があります。

飲んでもいい派の意見
・発ガン性があるのは石炭クレオソートで、木クレオソートは安全
・成分はすぐに胃で吸収されるので、腸で菌を殺す事はない
飲んではいけない派の意見
・正露丸は昔の古い基準に基づいたもので、再評価されないままである
・木クレオソートに含まれるグヤアコールやフェノール類は劇薬
・正露丸による腸閉塞や腸壊死なども報告されている
そう言われればそうだよな、という気分になりやすい人間にとっては、どっちもどっちで何とも言えませんです。ピーピーの時には正露丸、という古き良きジャパンは結局正しかったのかどうなのか!

正露丸の主成分 木クレオソート

登録販売者関連のテキストや書籍を見てみても、正露丸の主成分「木クレオソート」については、「腸の蠕動運動や水分量を正常化する」と書いてあるくらいです。そもそも、「木クレオソート」とは何ぞや?と調べてみました。

木クレオソートとは 木材の構成成分が熱分解されて生成したフェノール類化合物を主成分とする化学合成物質

よく解らんし。
要するに、材木をいぶして流出した油の層(木タール)を蒸留したもののようです。ちなみに、いぶした際に出る上澄み液の方は作物の虫除けなどに使われる「木酢液」となります。木酢液は正直飲む気になりませんが、その下にあるタールを蒸留したものとなると、ますます「それ飲んでいいのか」という感じはします。

木クレオソートは、もともとは、1832年にドイツで開発されたもので、消毒剤や殺菌剤として利用されていたようです。日本へ持ち込まれたのは1880年代とかなり後です。契機になったのは「日露戦争」で、旧日本軍で”征露丸”として大々的に使用されたことが根付くきっかけのようです。

古くからある薬ですが、内服での「腸への殺菌効果はほとんど無く、大腸の過剰運動を抑え、腸からの余分な水分分泌を抑える」という効果が明らかになったのは、ここ数十年と最近の話みたいですね。

メーカーによっての違い

売り場で正露丸を見てみると、有名な「ラッパのマークの正露丸(大幸薬品)」以外にもいくつか並んでいる事があります。実は同じようで違いがあります。

大幸薬品 正露丸
木クレオソート 400mg
アセンヤク末 200mg
オウバク末 300mg
カンゾウ末 150mg
陳皮末 300mg
大昭製薬 イヅミ 正露丸
木クレオソート 275mg
ロートエキス 19.8mg
ケイヒ末 49.5mg
オウバク末 99mg
チンピ末 105mg
カンゾウ末 165mg
本草製薬 正露丸
木クレオソート 276mg
ゲンノショウコ末 322mg
オウバク乾燥エキス 322mg

どのメーカーの正露丸も、木クレオソートが配合されており、それに加えて胃腸を整える生薬が配合されています。中には「ロートエキス」が配合された正露丸もあります。

「ロートエキス」というのは、ロート製薬とは無関係でして、「抗コリン成分」という「副交感神経を抑制する」成分になります。要するに、身体を休息状態にしようとする働きを抑える成分です。

腹痛を鎮めたり、胃酸過多などで胃が痛い時に有効な成分ですが、消化器官の活動を抑制するため、腸の動きも止まってしまいます。腸の動きが止まるという事は、感染性の下痢の時など、早急にブリブリと排出しないといけないものが毒素と共に身体に留まってしまい、よろしくないです。

「ロートエキス」は、頭痛や眠気、口渇など副作用が出る可能性もある成分です。「あの色の変わった肉のせいだ」と明らかに悪いものを食べた心当たりがある時は、「ロートエキス」が入ってない正露丸を選ぶと良いです。

結局のところ飲んでいいのか

実際、正露丸の服用による事故例はあるようですが、長期服用、通常量の四倍量服用など、量を飲みすぎた事によるもののようです。これは正露丸に限らず、どの医薬品に対しても言えます。

用法、用量を守って飲む事が大事です。個人的には、腸の動きを止めないロートエキス抜きのものが常備薬としておすすめです。

効能効果にある「歯痛」は、「虫歯に詰める」ことで一時的な麻酔になり、痛みを和らげる効果があるらしいです(←他人事)。そんな、飲み下すだけでも臭うのに、歯に詰めるなんて想像しただけで鼻がフガフガしてきます。


トップの画像を撮るために売り場の正露丸を手に取ったところ、プワーンと例の正露丸スメルが。未開封状態でこれだけ匂うとは。

大幸薬品からは、臭いを抑えた「正露丸糖衣A」も出ていますが、飲んでしばらくするとゲップなどで例の臭いが上がってきます。とはいえ、通常タイプより遥かに飲みやすいです。

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