消毒?除菌? 新型コロナ・インフルエンザ ウイルス対策グッズについて

2020年、新型コロナウイルスの世界的大流行により、一躍注目を集めるようになったのが除菌・抗菌グッズの数々です。ドラッグストアでも飛ぶように売れています。

種類も多いし、とりあえず「除菌」なら良いか!と目についた商品を買ってしまっている人もいるかもしれません。中には、店員から見て「ん?」と首をかしげたくなるようなものもちらほらあります。医薬品以外の家庭向け「除菌・抗菌アイテム」についてまとめてみました。

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滅菌・殺菌・消毒・除菌・抗菌の違い

そもそも病気になりたくないので悪い菌をあれこれしてやろうとするわけですが、ドラッグストアの対策商品のパッケージには、菌について色々な単語が躍っています。医薬品や医薬部外品(薬用)でしか使えない表現もありますが、概ねタイトルに書いた五種類になりますので、ひとまず違いを説明します。

元々付着している悪い菌を80とし、身体に害がないレベルが30とします。

・0にするのが「滅菌」
・0~79にするのが「殺菌」
・0~30にするのが「消毒」
・0~79にするのが「除菌」
・80から増やさないのが「抗菌」

となります。

「滅菌」は文字通り菌を根こそぎ無くすことで、医療用の「滅菌ガーゼ」などが該当します。「殺菌」と聞くと強そうですが、元々ある菌が少しでも死ねばいいので、10減ろうが50減ろうが「殺菌」となります。

「消毒」は、菌が身体に害を及ぼさない程度まで殺す事です。「除菌」は菌が取り除ければその数値に明確な定義はないので、量に関わらず「除菌」です。極端な話、ティッシュを湿らせて汚れた部分を拭って、少しだけ菌が減ったとしても「除菌」といえるわけです。

「抗菌」はあくまで「菌を増やさない」状態で、元から大量に菌がついていたとしてもそこから増えなければ「抗菌」となります。菌の住みにくい環境を作る、というイメージです。

単純に並べると 滅菌消毒殺菌=除菌抗菌 となります。

いずれにしても、「除菌・殺菌」等と書いてあっても、どの菌に対してどの程度有効なのか?具体的な除菌割合は?など、細かいところまで確認するには、メーカーに問い合わせるしかありません。問い合わせても、表示義務が無い商品に関しては、教えてくれない場合があります。

大きく「消毒」と書いてある商品も、よく見ると「全ての菌に効果があるわけではありません」と小さく表示されていたり、何を信じれば良いの!とワケわからんことになります。

ウイルスの種類

人体に害を及ぼすウイルスは、ざっくり分けると二種類に分かれます。

脂質の膜に包まれた「エンベロープウイルス」
新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス・風疹ウイルス など
ウイルスを包む膜がない「ノンエンベロープウイルス」
ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス など

インフルエンザや新型コロナのウイルスは、「二重になった脂質の膜に包まれたウイルス」で、この膜はアルコール、界面活性剤に弱いという性質があります。アルコールや石鹸で対応できるため、比較的対策を取りやすいウイルスです。

ノロウイルスなどの「膜に包まれていないウイルス」は、膜がないぶん弱いのでは?というイメージですが、ウイルスそのものがダメージを受けにくい強固なものになっています。アルコールなど、エンベロープウイルスと同じ対策では対応しきれないため、次亜塩素酸等が使用されます。

手洗い用ハンドソープ・固形石鹸


手洗い用として人気なのが除菌・消毒ハンドソープです。子供でも使いやすい泡のポンプタイプも人気で、詰め替え用も非常によく売れています。

ハンドソープに入っている除菌・消毒成分は肌に優しいものではありません。そもそも、液体のハンドソープの洗浄成分自体が刺激が強めなので、そこにもって殺菌成分の刺激が加わると手荒れしやすくなってしまいます。手荒れすると、痛いだけではなく、荒れて乱れた皮膚にばい菌が付着しやすくなる、というデメリットもあります。

とは言え、除菌や消毒と書いてないと心配だから、という方も多いと思います。ですが、インフルエンザや新型コロナのウイルスを包んでいる膜は「界面活性剤」に弱いので、除菌・消毒成分が入っていない普通の石鹸でもウイルスの膜を壊すことができ、十分に対応可能です。

「牛乳石鹸」や、懐かしの「レモン石鹸」などをしっかり泡立てて使えばOKです。固形の石鹸は洗浄成分がほとんどですし、純石けんなら洗浄成分だけでできているので、泡切れもよく手荒れもしにくいです。

「手を洗いたいけど、料理をする前など手に香りが残るのがイヤ」という方は、ハンドソープでも、キッチン売り場に並んでいるものは香りが残りにくくなっているのでおすすめです。ふきん洗いの白い純石けんを手洗い用に使うのも、刺激が少なく良い方法です。

消毒ジェル・スプレー

ウイルス対策には流水での手洗いが一番ですが、出先ではなかなか手洗いできない、という状況もよくあります。手指に使うタイプの医薬品ではない消毒ジェル・スプレーについて書きます。

商品のパッケージを見比べてみると、「エタノール」が主成分のものと、「塩化ベンザルコニウム」が有効成分のもの、ほとんどがこの二種類です。


画像左が花王「ビオレu 薬用手指の消毒液(スキットガード)」右が健栄製薬「手ピカジェル」の製品裏面成分表示です。有効成分がベンザルコニウム塩化物(塩化ベンザルコニウム)であるビオレに対して、手ピカジェルはエタノール濃度の表示もきっちりされています。ライオンの「キレイキレイ」などもそうですが、出回っている家庭用消毒ジェル・スプレーは、塩化ベンザルコニウムが有効成分で、エタノールの割合が表示されていないものの方が実は多いです。

ちなみに、アルコールが60%以上になると「火気厳禁」未満だと「火気注意」になります。ビオレのエタノール含有量は、多くても60%には届かないという事になりますね。

塩化ベンザルコニウムとエタノール

塩化ベンザルコニウムは、エタノールに比べると低い水準の消毒成分で、細菌などに対しては有効ですが、ウイルスに対しての効果はエタノールに比べて劣ります。添加物でエタノールが入っていたとしても、割合が不明なため、ウイルスへの効果がどの程度あるかはっきり分かりません。

割合が書かれていなくても、配合成分の量の順番で表記されているのは確実ですから、成分の一番目に「エタノール」とあればまだ内容に期待が持てます。成分の一番目が「濃グリセリン」の消毒ジェルを使用したことがありますが、いつまでもヌルヌルして乾かず、いったいどれだけエタノールが入っているのか?と不安になりました。手を水で濡らしたら再びヌルヌルが復活するし…。

結局のところ、エタノールの割合が表示されているもの(70%以上)を入手するのがベストです。「手ピカジェル」はエタノール濃度も高く使用感も良いし、説明もしっかりされているので良い商品だなと思います。

ジェルかスプレー、どっちを使うかは全くの好みかと思いますが、不特定多数が使う場所に置くなら、サラっとしたスプレータイプにしないと、周辺や床がギトギトに汚れますのでご注意を。

台所用除菌スプレー・布用除菌スプレー

キッチン除菌スプレーはアルコール濃度が比較的高めなので(50%前後)ウイルスに対する効果も期待できます。台所用品扱いなのでお手頃で、詰め替えがあるのも良い点です。

キッチン用のスプレーを手指に使えるか?という点については、法的区分の関係で、メーカー的には「使えます!」とは言えませんが、成分的に使用しても問題ありません。ただ、手指用に作られているものと比べて、保湿成分が入っていないので、手荒れしやすい可能性はあります。


布用除菌スプレーは「ファブリーズ(P&G)」「リセッシュ(花王)」などが定番です。説明にも消毒や殺菌を目的とした製品ではなく、その効果も確認できておりません」とある通り、無いよりはマシ、程度に考えておく方が無難です。

アルコール強化配合されているファブリーズもありますが、配合量は高くなく(調べた方によると10%程度)メーカーもコロナ対策の効果はうたっていません。あくまで消臭スプレーとして認識しておく方が良いでしょう。

次亜塩素酸ナトリウム・次亜塩素酸水

ウイルス全般に有効で、強力な消毒対策として「次亜塩素酸」があります。ハイターなどの漂白剤を薄めて使うと有効、というのはノロウイルスの流行から広く知られるようになってきました。新型コロナインフルエンザはもちろん、対策しにくいノロウイルスロタウイルスにも効果があるのが特徴です。

ドラッグストアの売り場には、「ウイルス対策に」として販売されている「次亜塩素酸水」のスプレーがあります。なかなかのお値段がするし、漂白剤を薄めてスプレーボトルに入れて使えば同じようなものじゃないか?と思われるかもしれませんが、名前は似ていても異なるものです。

次亜塩素酸ナトリウム水溶液・・・漂白剤を水で薄めたもの アルカリ性 手指使用不可
次亜塩素酸水・・塩酸や食塩水を電気分解して生成されたもの 弱酸性 手指使用可

次亜塩素酸ナトリウム水溶液に関しては、消毒効果は高いものの、人体への刺激、金属やプラスチックの腐食、布等の漂白作用、欠点が多いのも事実です。それらをカバーできるのが、次亜塩素酸水というわけです。

とはいえ、次亜塩素酸水次亜塩素酸ナトリウム水溶液に比べて一般家庭で作りにくいという難点があります。水に溶かすだけで作れる!という粉末やタブレットも販売されてはいますが、作成状況等が各々で異なりますし、定義された次亜塩素酸水と異なるものになる可能性があります。

次亜塩素酸ナトリウム水溶液を作り、日々の拭き掃除で使うのはコスト的にも良い方法です。実際に、店舗でも朝夕のレジや荷物を詰める台の吹き掃除に使っています。ただ、スプレーボトルに入れて、エタノールのように「消毒!」とそこらじゅうに吹き付けていると、布や金属を傷めますし、何よりスプレーの飛沫を人が吸い込んだりして健康を害する恐れもあるのでおすすめしません。

お客さんに「ハイターを薄めれば手指が消毒できると看護師さんが教えてくれた」と言われた事があり、おいおい…と思ったことがありますが、どうも二つを混同されている方が少なくない気がします。あくまで別物ですのでご注意下さい。

除菌ウェットティッシュ


ウェットティッシュは、手を洗えない時に手軽に除菌ができます。アルコール含有のもの、ノンアルコールのもの、水だけ含んでいるもの、色々と販売されていますが、この中で謎なのが「ノンアルコール」なのに「除菌」と書いてあるものではないでしょうか。

単純に、「エタノールではない除菌成分が配合されている」という事になります。シルコットのノンアルコール除菌ウェットを見てみますと、よくわからん「ポリアミノプロピルビグアニド」「カルバミン酸ヨウ化プロピニル」「ベンザルコニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)」などが含まれています。

「エタノール」の良いところは、消毒作用の高さもありますが、蒸発してすぐに成分が無くなってしまうところです。よくわからん成分は、肌に長く残って刺激になってしまいます。ノンシュガーキャンディによく見たら水あめが入っている!みたいなもんで、「確かにノンアルコールだけど…」というカラクリがあります。

普通の水が含まれたウェットティッシュでも、拭くとそれなりに菌が除去できるので、中途半端な商品を使うよりは、いっそエタノール入りの商品か、刺激の少ない純水ウェットを選ぶ、くらいで良いのでは?と個人的には思います。

蛇足ですが、ボトルタイプのウェットティッシュ、取り出し口にシリコンのようなストッパーがあります。お店の入口にウェットティッシュを置いておくと、あのストッパーがいつの間にか吹っ飛んでいっっっつも無くなります。皆さん優しく引っ張ってやって下さい(先日店長がキレてテープでベタベタに貼ってました)。

空間除菌は効果があるのか?

二酸化塩素の作用により、置くだけで空間除菌する、という商品があります。具体的な商品名を出すと「クレベリン」が有名ですね。首から下げるカードタイプ、フックタイプ、色々ありますが、これらはあくまで「消臭効果のある雑貨品」として販売されており、医薬品でも何でもありません。何でもないんですが、医薬品売り場付近や風対策コーナーに並んでいたり、紛らわしい部分はあります。

二酸化塩素ガスには確かに強力な除菌効果がありますが、それだけの効果があるガスを一定の濃度で保つのは難しく、そもそも除菌よりも人体への悪影響が心配になります。部屋を密閉して、適度な湿度を保てば、もしかしたら効果があるのかな?というレベルです。

特に、カードタイプなどの持ち歩きタイプは、正直あってもなくても一緒なので、それよりは手洗いをしっかりされる方が賢明な対策と思います。

一番大事なのは生活習慣

あれこれ商品について書きましたが、何より重要なのは生活習慣です。

・手で顔を触らない
・外から帰ったらすぐ手洗いうがい

この二点だけでも大きく変わってきます。ついつい「かゆいよ!」と目を擦ったり鼻をほじったりしてしまいそうになりますが、家に帰って手洗いや入浴などを済ませるまで我慢しましょう。玄関に手指消毒剤を置いて、帰ったらまず手を消毒、それから着替えて改めて手洗いなど、菌を持ち込まない工夫も重要です。

質の良い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、免疫を高めるために良いのは解っていても、それを100%フルパワーで続けるのはなかなかの負担です。自分が果たして完璧に感染対策ができているか?というと正直微妙ですが、ドラッグストアという、具合の悪い人が集まりがちな場所で働いている以上、ストレスにならない範囲で行っているつもりです。

・ウイルスが1減っても100減っても「除菌」扱い
・手洗いは普通の石鹸でもウイルス対策が可能
・手指消毒剤はエタノール割合表記があるものがおすすめ
・次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム水溶液は別もの
・一番大事なのは生活習慣 手洗いうがいを日課に

新型コロナ関連で妙な商品が続々入荷したり、ハンドソープが売り切れまくって石鹸が売れ残っていたり、「うーん」と唸る事が増えたのがブログ記事を書くきっかけです。2020年5月現在、まだまだコロナコロナしてますが、後でこの記事を見て「あんな時期もあったな」と思い返せる日が来ていますように。

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