無水、IP? エタノールとアルコール

手指の消毒の定番といえば「エタノール」。消毒用に何か買おうとドラッグストアに行ってみても、医薬品コーナーにあるもの、家庭用品コーナーにあるものなどなど。そもそも、医薬品売り場に置いてある「エタノール」だけでも名前が色々あり迷うと思います。
ドラッグストアに置いてある、アルコール類の用途や違いについてまとめてみました。

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エタノールについて

「エタノール=エチルアルコール」要するにアルコールです。アルコール分が微生物のタンパク質を変性させることにより、微生物(細菌・ウイルス等)に対する殺菌消毒効果を示します。

特徴としては抗菌スペクトルの広さで、一般細菌・真菌・結核菌・ウイルス等幅広く対応可能です。当初、アルコール抵抗性の高いノロウイルスロタウイルスには消毒効果が無いとされていましたが、次亜塩素酸ナトリウムの消毒効果には劣るものの、ある程度有効である事がわかってきました。

次亜塩素酸ナトリウムとエタノール

ノロウイルスが流行した事で、一躍、ノロ&ロタウイルスを含む殺菌消毒剤として脚光を浴びるようになった「次亜塩素酸ナトリウム」。一般的に塩素系漂白剤として販売されており、入手しやすいのも特徴です。

商品名で言うと台所や衣類漂白の「ハイター」、哺乳瓶消毒の「ミルトン」などもそうです。「ハイターとミルトンが同じなのか!」と言われそうですが、残留性が低い成分なので問題ありません。

エタノール以上に抗菌スペクトルが広く強力なのですが、何しろ「ハイター」ですから、布類にかけたら色が変わります。お気に入りの絨毯やソファに景気よくかける気にはなりません。金属も腐食するし、プラスチックも劣化するし、さんざんです。木材には無効だし(次亜塩素酸ナトリウムは木材と接触すると効力を失うため)皮膚にも良くないし…と、おとなしくシャツや茶渋の漂白だけしておいて下さいとお願いしたいレベルです。

その点、エタノールならそこまで気兼ねせずブシャーッと振りかける事ができます。ノロ&ロタウイルスに対して最も有効なのが次亜塩素酸ナトリウム及び煮沸である事は間違いありませんが、状況に応じて使い分けていけば良いと思います。

無水エタノール・エタノール

ドラッグストアでまず目につくのが「無水エタノール」です。そもそも他のは水入りなのかしら?などと不思議に思うかもしれませんが、最も純度が高い(99.5vol%)エタノールエタノールしたエタノールが「無水エタノール」になります。

すぐに揮発するため、水を使えないパソコンなど電化製品の掃除に向いています。そのままだと肌につけても消毒効果を発揮する前にすぐに揮発してしまうので、手指の消毒には不向きです(水で薄めれば消毒用として使用可能)。

それより少しエタノール濃度が下がる(95.1~96.9vol%)のが「エタノール」と表記されているものです。性質として、水にも油にも溶けやすいため、色々な汚れに強く幅広いお掃除に使えるのですが、アルコールメンバー(?)の中ではなかなかに高価なので、あちらこちらにざぶざぶとは使いにくいです。

消毒用エタノール・消毒用エタノールIP

「消毒用エタノール」はドーンと用途として書かれている通り、消毒用です。中にはスプレーキャップが添えられたタイプなどもあり、消毒してしてオーラを発しています。水分を含んでいるため、すぐに揮発せず肌の上に残り、消毒効果を発揮します。

気になるのが謎の「IP」がついた「消毒用エタノールIP」ではないでしょうか。よく見るとノーマルに比べて微妙に価格も安い「IP」つきの消毒用エタノール。安い分効果が劣るのでは?と疑いたくもなります。

そもそも「IP」は何ぞや、という話になりますが、実は、それはそれで単品でドラッグストアに商品として置かれており「イソプロピルアルコール」というものになります。

イソプロピルアルコール

「イソプロピルアルコール」は第二級アルコールの一種で、イソプロパノールとも言います。身近なところでは、ネイルリムーバーやメガネクリーナーなどにも使われています。ドラッグストアに置いてあるのは、大体濃度50%の殺菌消毒用イソプロピルアルコールで、それ以上の濃度のものは取り寄せるか、ネットで買う必要があります。


価格を見ると、エタノールと比べてかなり安価な事にお気付きになるかと思います。ウイルスに対する不活性効果はエタノールに多少劣るものの、消毒に掃除にと同じような使い方が可能なイソプロピルさん、なぜ粗末な安い扱いを受けているのか?

エタノールと大きく違うのは、飲めない点です。この飲めないというのがポイントで「飲めないんだから安くしてね~」酒税がかからないために、エタノールと比較して安価になっています。

なので、イソプロピルアルコールを添加物として混ぜ込んだ「消毒用エタノールIP」は、少し安価で販売できるというわけです。「消毒用アルコール」と効果はほぼ同じなので、ご購入はお好みで。

燃料用アルコール

エタノールの横のあたりに地味なパッケージで佇んでいるのが「燃料用アルコール」です。アルコールストーブやコーヒーを淹れるサイフォンなどに使われます。

エタノール混合のものもありますが、基本的に「メチルアルコール(メタノール)」が主成分です。有機溶媒などとして使われる毒性の高いアルコールで、「昔はメタノールを飲んで死んだやつもいたもんじゃ‥」と年寄りが言ったり言わなかったりですが、メタノール中毒はよく知られています。

アルコールだから手指の消毒に使えちゃうかも!という気もしますが、刺激が強いので使っちゃダメです。お店では、床掃除や落ちないマジック跡などを落とす時に使う事がありますが、手袋必須です。

家庭向けアルコールジェル、スプレー

いわゆる「手ピカジェル」などの、家庭用アルコールジェル&スプレーは、医薬品の棚にあるものと違って、保湿成分などが配合されています。メーカーや形状など、好みで使い分ければ良いとは思いますが、アルコール濃度がある程度高い(70%以上)ものを選べば確実です。

大手メーカーの商品でも、成分表示を見ていると「塩化ベンザルコニウム」を有効成分とし、エタノールは添加物扱いのものがあります。この場合はアルコール濃度の表示義務が無いため、どの位エタノールが配合されているかは解りませんし、メーカー側も「義務が無いので」と問い合わせに答えてくれない場合があります。

塩化ベンザルコニウムについて

「塩化ベンザルコニウム」は、逆性石鹸と呼ばれるもので、古くからある消毒剤です。ドラッグストアで販売されている商品として一般的によく見かけるのは「オスバンS」でしょうか。食品工場などでよく使われることなどからも解りますが、細菌などに効果を発揮します。

ただ、ウイルスに対する効果はアルコール類に比べると劣るため、インフルエンザ、コロナウイルス対策を考えるなら、成分表示の一番にエタノールが表記されているもの、できれば配合割合が載っているものを選ぶ事をおすすめします。

・消毒剤として優等生のエタノール
・医薬品売り場にあるエタノールの名前の違いは濃度の違い
・イソプロピルアルコールはエタノールの代用としても
・家庭向けジェルは保湿剤入りで手指に優しい

お客様に消毒用品の場所を聞かれる時、大体のお客様が「手でポンプを押す仕草」をしながら「あの~消毒の~」と声をかけてくるのがちょっと面白いです。

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